【過去問解説(企業経営理論)】H26 第7問 規模の経済と経験曲線

今日は企業経営理論H26第7問について解説します。

H26 企業経営理論 第7問

規模の経済と経験曲線および経験効果に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

ア 規模の経済と経験効果は連続的に生じ、コスト低下の効果が生じない停滞期間が存在することは少ないが、物理的な特性が効率性の向上の水準を制限する場合もある。
イ 規模の経済の追求には相当額の投資が必要であり、多くの場合、特殊化した資産が投資対象となって長期間にわたって実現されるコストの減少を通じた投資回収を目指す。
ウ 規模の経済は、ある一定程度の総生産量が増加することによるコストの低下を指し、大規模な工場施設の建設などで模倣することはできるが、経験効果の構築にはある程度の時間を必要とする。
エ 規模の経済は、業界内において利益をあげられる企業数の上限を決定する一因となり、市場規模に対する生産の最小効率規模が大きいほど、当該業界に存在できる企業数は少なくなる。
オ 経験曲線は累積生産量の増加に伴ってコストが低下することを表し、累積生産量に対応する技術の進歩や改善等の要因からも生じるが、生産機能において生じる経験効果に限定されない。

解説

規模の経済と経験曲線および経験効果についての問題です。
今回は最も不適切な選択肢を当てる問題です。

それでは早速各選択肢を見ていきましょう。

選択肢アは「規模の経済」と「経験効果」の二つについて、①連続的に生じるか?②停滞期間が存在することが少ないか?③物理的な特性が効率性の向上の水準を制限する場合があるか?の3つに該当するかです。①は、経験効果は文字通り経験の質と長さによって連続的に生じますが、「規模の経済」は投資など瞬間的な活動に依存しており成り立ちません。同様に②も投資が実施されるまでの間に停滞が生じると考えられます。③については特に否定はできません。よって、この選択肢は×と判断できます。
念のため残りの選択肢も見ていきましょう。

選択肢イはその通りで、大きな投資を長い期間を掛けて固定費を小さく分散・回収することで利益を得ます。また、「特殊化した資産が投資対象」という言い回しがやや難解ですが、製品を作る機械は「ある製品の製造」に特化しているので、矛盾は生じません。よって、この選択肢は○と判断できます。

選択肢ウもその通りで、大規模な工場施設の建設などで「規模の経済」を模倣することはできますが、それを運用する「経験効果」にはある程度時間を要します。よって、この選択肢は○と判断できます。

選択肢エもその通りで、「市場規模に対する生産の最小効率規模」とは、市場競争に耐えうるコスト低減効果を得られる、最小限の生産規模が大きければ、少ない企業で市場が飽和してしまいます。よって、この選択肢は○と判断できます。

選択肢オもその通りで、経験効果によるコスト低下の要因には「生産機能」以外の経験効果も含まれます。よって、この選択肢は○と判断できます。

以上から、正解は選択肢アとなります。

 

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